1-7. 軟岩とは何か

6 土と岩石はどう違うか

 土木地質に対応する時,“表層”とか“基盤”と言う表現を聞く事が多いと思います。
 通常は表層とは地表付近に存在している固結していない地層を言い,基盤とはこの下位にあって固まった地盤をなす地層や岩体を指すことが多いものです。
 そうして工学的には基盤と言われる固結した地層や岩体は土木地質学や岩盤力学の分野で扱い,未固結の表層は土質工学の分野で扱っています。
 そうであれば両者はどの様な定義で分けられているかとなりますとこれが案外はっきりした定義の無い事に気がつきます。
 勿論,純地質学の分野では第四紀の未固結の地層も学問の対象分野であり,これを除外している訳ではありません。
 また,土質工学の分野でも未固結の粘土や砂の問題から徐々に固結している軟岩の問題に研究の分野が拡大しているのが現況であり,これ等を機械的に二分しようとするのがそもそも間違いと言えるかも知れません。
 堆積物が固結したり,また逆に固結している岩石が風化等の影響で固結度を失い,粘土や砂に移り変わって行く状況を模式的に表示すると図−20のようになります。
図−20 未固結・固結のサイクルを示す概念図
 ここでも見られるように工学的観点からは,物質の固結状況を基準として“未固結”(或いは二次的な非固結状態)と“固結”およびこの中間的状態の“軟岩”の三つに分けているのが一般的です。
 そうして固結度は取り出された試料の圧縮強度をもとに図−21のように区分しています。
 図−21では世界でのいろいろな機関で用いている定義を示していますが,各々異なったものであり,統一されたものとなっていないのが分かると思います。
 ちなみに,ロンドン地質学会では一軸圧縮強度1MPa(10kgf/p²)をもって,土と岩石の境界としています。                                    
図−21 固結度の定義
 図−22には堆積されてからの時間と粒子間隙の変化を調べたものを載せています。
 堆積時間が増したり,有効応力が増すと粒子の間隙が減少し,堆積物は固化して行きます。
 地質学的な年代でみると第四紀(約200万年前)に入ってから堆積したものの固結度は一般に低く未固結であることが多くなっています。
 ただ,この場合でも火山性の堆積物や或る種の化学的な堆積物では固結していたり,逆に第四紀以前の堆積物でも有効応力増加の極端に少ない堆積物は未固結のままで残っていることも少なくありません。
 この様な諸点をまとめると,おおむね強度では100kgf/p²前後以上の一輪圧縮強度をもつものは“岩石”,100kgf/p²以下で20kgf/p²程度の間が“軟岩”,これ以下が“土”ということが出来ます。
 また,堆積時代との関係をみますと図−22に示される様に,洪積世より新しいものは“土”,鮮新世以前のものは“岩石”,鮮新世と洪積世の一部は両者の“混在ないし軟岩”ということになりましょう。
図−22 岩化に伴う一軸圧縮強度の変化
(堆積軟岩の工学的性質とその応用,1987年)
 土と岩石を区分することは,表層と基盤を区分することに通じます。
 前述のように,土と岩石を区分することが難しいということは,表層と基盤を区分したり,これを地質断面図や地質平面図に表示する時にもいろいろと問題があるということになります。
 これ等の点については第5節や第7節も参照して下さい。

1-7. 軟岩とは何か